chapter:癒えない傷 ふいに、オレの身体があたたかいものに包まれた。 「大丈夫。ここは君に危害を加えるものはないから……」 その声は、悲しみを抱くオレの胸にスッと通る。 「大丈夫だよ」 何度も、何度も、そう言って、オレを宥(なだ)める。 幸は残酷な人間なのに……。 コイツはいくらオレが攻撃を仕掛けても暴力を振るわない。 それどころか、オレを優しく包み込んでくれる。 幸……。 父さんと母さん、死んじゃった。 オレ……本当はひとりなんてイヤだよ。 怖いよ。 オレは優しい幸の腕に、ほっぺたをすり寄せた。 幸は、傷の手当てを中断させて、オレの頭を、ずっと撫でてくれていた。 |