chapter:ひとりと一匹の奇妙な関係 チョン、チョン。 っくぅぅぅううう!! 何度も、『消毒剤』を塗られるたび、激痛がオレを襲う。 痛みを我慢するオレの目は、涙がたまってくる。 大きな雫が目からぽろぽろと零れ落ちた。 いてぇ……。 すんげぇ、いてぇ……。 傷口がピリピリする。 「古都は不思議だね」 何度も傷口に染(し)みる布を押し付け、痛みでほっぺたを流れる大粒の涙を、幸は空いている手でそっと掬(すく)い上げると、ぽつりとそう言った。 何がだよ? こっちはものすげぇ痛いんだぞ!? オレは睨(にら)みながら、続きの言葉を待つ。 「俺の言葉を理解しているようだ。普通の動物とは違うというか……頭がいいね、お前は」 ――当然だ。 オレはただの狐じゃない。 狐が妖力を持った、れっきとした、『あやかし』なんだ。 しかも、妖狐族の王の子供。 オレが、頭がいいのは、そのおかげだ。 勝ち誇っているオレ。 だけど次の瞬間、幸は、言葉という一撃を、オレにくらわす。 「暴れん坊さんだけど……」 っんな!! オレは暴れん坊じゃねぇ!! 大人しくは……ないかもしんないけど……。 なんだよそれ、すんげぇ侮辱(ぶじょく)じゃねぇか!! オレは幸の言葉にムカっとして、もう一回睨む。 ついでに、口の両端にある牙も強調させてみた。 「ああ、ごめんごめん。でもね、そんな古都がかわいいよ」 『かわいい』 |