迷える小狐に愛の手を。
第三話





chapter:ひとりと一匹の奇妙な関係





チョン、チョン。
っくぅぅぅううう!!


何度も、『消毒剤』を塗られるたび、激痛がオレを襲う。


痛みを我慢するオレの目は、涙がたまってくる。

大きな雫が目からぽろぽろと零れ落ちた。


いてぇ……。
すんげぇ、いてぇ……。
傷口がピリピリする。


「古都は不思議だね」

何度も傷口に染(し)みる布を押し付け、痛みでほっぺたを流れる大粒の涙を、幸は空いている手でそっと掬(すく)い上げると、ぽつりとそう言った。


何がだよ?
こっちはものすげぇ痛いんだぞ!?


オレは睨(にら)みながら、続きの言葉を待つ。


「俺の言葉を理解しているようだ。普通の動物とは違うというか……頭がいいね、お前は」



――当然だ。
オレはただの狐じゃない。
狐が妖力を持った、れっきとした、『あやかし』なんだ。

しかも、妖狐族の王の子供。

オレが、頭がいいのは、そのおかげだ。

勝ち誇っているオレ。

だけど次の瞬間、幸は、言葉という一撃を、オレにくらわす。


「暴れん坊さんだけど……」


っんな!!
オレは暴れん坊じゃねぇ!!
大人しくは……ないかもしんないけど……。

なんだよそれ、すんげぇ侮辱(ぶじょく)じゃねぇか!!


オレは幸の言葉にムカっとして、もう一回睨む。

ついでに、口の両端にある牙も強調させてみた。



「ああ、ごめんごめん。でもね、そんな古都がかわいいよ」


『かわいい』





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