迷える小狐に愛の手を。
第三話





chapter:ひとりと一匹の奇妙な関係





ここに来てから、そればっかりだ。

まあ、今のオレは狐だし?
人間の幸に比べたら小さいし?


だけど、人型になったら、かわいいなんて言わせねぇからな!!

今に見てろよ!!

決意をたぎらせ、人型になったオレを見た時の驚く幸の姿を想像すると結構面白い。


「はい、できた。さ、朝ごはんにしようか」

オレの傷ついた足を、真っ白な包帯で覆った幸の言葉に飛び上がり、地面を歩こうとするけれど……。


ヒョイッ。
オレの身体が宙に浮いた。

幸に抱え上げられたんだ。


あ、いや。
あの幸さん?
オレ、少しだけなら歩けますけど?

なんて思ってチラリと幸の顔を見上げると、にっこりと微笑まれてしまった。


幸はどうやらリビングまで運んでくれるらしい。



まあ、たしかに歩くと痛いけどさ……。

でも、だからといって、いつまでも他人に頼るのは、自分が何もできないみたいでイヤだ。


――――なんだけど……。

こんなのも悪くないって思ってるのもたしかなんだよな……。


仕方がないから、今だけは大人しく言うことを聞いてやるよ。

目を細めて幸の胸に寄り掛かる。

心地いい鼓動が、幸の胸を通って聴こえてきた。


トクン。

トクン。


その音はまるで、母さんの胸に抱かれてるよう。

あったかい。

まるで、ひだまりの中で寝転んでいるような感覚だ。

目を閉じれば、思わず眠ってしまいそうになる。





- 33 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom