迷える小狐に愛の手を。
第四話





chapter:『いっぴき』と『いっぴき』





『お前、俺たち動物のようだが、なんか違う匂いがする』


猫はそう言うと、オレは危害を加えないという意味を込めて、後ろ足をかがめ、腰を下ろした。



「古都(こと)?」

そんなオレと猫が対峙する姿を見ている人間三人は、訝(いぶか)しげに見つめてくる。

それにかまわず、オレは前かがみになって威嚇し続けている猫を見据えた。



『なぁ、お前が人間に何をされたのかは分からないけどさ、少なくとも、ココには、お前を痛めつける奴はいないぞ?』


『んなこと信用できるか!! 人間は、俺がまだ幼い頃に、母さんと離れ離れにさせて、俺を捨てやがった!! 誰にも拾われず、そのまま街中をウロウロするようになった矢先だ。奴らが乗り回している、『自転車』とかいう化け物に弾き飛ばされ、この様だ!!』



……やっぱりそうか。

内心うなずくオレに、猫は続きを話す。


『だいたい、人間なんかのペットになったお前の言葉なんか信用できないね』



――んなっ、ペットだと?

冗談じゃねぇ!

オレは人間のペットなんかじゃねぇよっ!



『オレはそんなんじゃない。あることで世話になってるだけだ』

『あること?』

『ああ。この足を見ろよ、すんげぇ痛いんだ』

オレは後ろ足を見せるために背中を向けた。


……ゴクッ。

喉を鳴らすような音が、猫の方から聞こえる。



包帯でグルグル巻きにされた無惨な足を猫に見せた後、オレはまた振り返ると、猫は目を瞬(しばたた)かせていた。





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