chapter:恋ってなに? 失礼極まりない奴だなっ!! オレよりもひと回りもふた回りもでかいドーベルマンを、ギロリと睨(にら)む。 だけど、今のオレは妖力を失った妖狐。 ただの小さな狐にすぎない。 ドーベルマンは臆することなく、オレを見つめてくる。 『あのさ、俺。お前に惚(ほ)れた!!』 はあ? 輝く目を大きくさせて告白してきたドーベルマンに、オレは目玉をひん剥(む)いた。 開いた口が塞(ふさ)がらないっていうのは、まさにこのことだ。 絶句するオレを畳み掛けるようにして、ドーベルマンは続きを話す。 『昨日、暴れまくる猫を宥(なだ)めていただろう?』 「…………」 ああ、そういえば、そういうこともあったっけ? あの時は、せっかく気持ちよく眠ってたのに起こされて、ちょっとイラってきたんだっけ……。 すんげぇ眠かったから、仕方なく、暴れる猫を説得してやったんだ。 ほんとにアレはもう、最悪だった。 眠たかったのに起こされてさ……。 昨日の出来事を思い出し、オレは顔をしかめた。 だけど、オレの心情をまったく知らないドーベルマンは、目を大きく見ひらいて、キラキラと輝かせている。 その雰囲気は、まるでオレを崇拝しているかのようだ。 『その姿がさ、すんげぇカッコよかったんだ。男の中の男っていうか……。な、俺の彼女になって!!』 ハアハアと息を荒げて話すドーベルマンに、オレはタジタジだ。 |