迷える小狐に愛の手を。
第五話





chapter:恋ってなに?





――いや、ちょっと待て。

オレは男の中の男なんだろう?

だったらなんでオレが、お前の彼女になるんだよ?

だいたい、そう言うお前もオレと同じ雄だろうがっ!!




ツッコミどころ満載なドーベルマンに、やっぱりオレは呆れ果てて、何も言えない。


開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。

オレはそのまま、だんまりを続けていると、ドーベルマンは何を思ったのか、オレが入っていたカゴの中に、突然首を突っ込んできた。


なんだよ!! 狭いだろうが!!


……なんて思っていると、奴はあろうことか、オレの尻に鼻を当ててきやがった。



オレは慌ててソコから飛びのく。

コイツ、なんだよ。

ものすごく、気持ち悪いっ!!


『なぁ、好きなんだよ』

ドーベルマンは、カゴの後ろにいるオレに熱っぽい視線を向けた。


幸、加奈子、助けて!!


助けを求めて、ちらりと受付カウンターの中を見れば……。



「ちょっと……いい加減にしてください」

どこか困っているような、幸の声が聞こえた。


なんだ?

オレは『ひょい』っとドーベルマンに背中を向け、薬剤がたくさん置いてある室内へと椅子を伝って中に入った。


カリカリと診察室の扉に爪を立て、開ける。

机と椅子が見えるその先に、幸が……ひとりの女性に言い寄られていた。

その光景は、さっきのオレとドーベルマンそっくりだ。





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