迷える小狐に愛の手を。
第五話





chapter:恋ってなに?





それどころか、幸の手を、上から支えるようにして揉んでいく……。


「いい加減に!!」

幸が拒絶の言葉を発すると同時だった。

見ていられなくなったオレは、幸に言い寄る女と幸の間に割り込んだ。


ダッシュして、すぐに幸の膝の上に乗るオレの存在は、幸の手を掴んでいた女を見事、引き剥がすことに成功した。


「ギギギィッ!!」

「ちょっと何? こいつ!!」


牙を向けて威嚇(いかく)するオレに、怯えを隠せない女は後ずさりする。



「古都(こと)……」


いくら命の恩人だって、今だけは、その名前を呼ばれたはくない。

オレは、オレを呼ぶ幸を無視して、両端にある鋭い牙を女に見せつけ、威嚇し続ける。


女は、「ひぃっ」と声を上げ、その場から立ち去って行った。

「古都……?」

後ろから声が聞こえたかと思うと、手を差し伸べてくるような気配があった。


今は、幸に触られたくない。





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