chapter:蘇る苦痛と恐怖 怪我をしている足を見た瞬間、幸の目が大きくひらいた。 「君は……古都(こと)、なのか?」 唾を飲み、額に汗をにじませた幸は、そう言った。 「気安くオレの名前を呼ぶなっ!!」 オレは近くにあったクッションを手にして幸目がけて投げ放つ。 本来、投げることができないクッションを投げている。 だから、オレは今、人型になったんだと確信した。 投げたクッションは幸に命中するも、すぐに受け止められる。 クッションを軽々と受け止められたことにさえにも腹が立つ。 みんなオレを遊び道具のひとつとしか思っていないんだ。 なんだよそれ。 ふざけんなっ!! オレは両端にある鋭い牙をむき、立ち竦(すく)む幸に近づくと、右手に拳をつくり、殴りかかる。 だけど、そんなオレの拳を、幸はクッションを受け止めた時のように、軽々と止めた。 「放せっ!!」 左手も右手同様に幸の顔面へと打ち込む。 だけど、それすらも簡単に掴まれてしまう。 幸の両手に取り押さえられたオレの両腕はびくともしない。 「放せ!! この……裏切り者!!」 「古都!! 何が裏切り者なのか教えて!!」 そんなことも分からないのか? だから人間は愚かだって言うんだ!! オレは幸の言葉には応えず、右足を腹部にお見舞いしようと膝を立てた。 ドサッ! だけど攻撃はかなわず、オレの身体が幸によってベッドに倒された。 |