chapter:蘇る苦痛と恐怖 それは、さっきの出来事や、神楽に抱かれそうになった光景と繋がった。 「いやだ!! はなせ!! いやだあああああ!!」 ベッドに倒され、幸に覆われると、怒っていた心は一気に恐怖へと変化する。 身体中の血が引いていくような感覚に陥(おちい)った。 「いやだっ!!」 抑えつける幸からなんとか逃れようと、有り得ない方向に身体を捻(ね)じ曲げたりして、暴れまくる。 だけど――。 それさえも、幸によって取り押さえられた。 「いやああああああっ!!」 目の前が霞み、涙が溢れてくる。 父さん。 母さんっ!! あの雪が降り積もる日の、あの時の感情が、オレを襲う。 『絶望』という二文字が、オレを地獄へと突き落す。 「いやああああっ!! 父さん!! 母さん!! いやあああああああああっ!!」 父さんと母さんを目の前で殺された、あの苦しみ――。 オレの身体を暴こうと、伸ばされる手――。 フラストレーションを起こしてしまったオレは、大口を開けて叫びまくる。 「古都、古都……大丈夫。俺は何もしない。だから、暴れないで。そんなに暴れると、せっかく治りかけている君の足がまた悪化するから……」 絶望の真っただ中にいるオレの耳元で、幸は、そっと、そう言ったんだ。 そうしたらさ、なんでかな。 オレの恐怖に染まった心が少し軽くなる。 |