迷える小狐に愛の手を。
第六話





chapter:蘇る苦痛と恐怖





安心したら、身体が寒くなってきた。


身体が妙に、スースーするんだよ。



「っくしゅっ」

おかげで、出したくもないくクシャミまで出る始末だ。

なんで寒いんだろうと思って見下ろせば……。

オレ、全裸だった。

って、ちょっと待って、オレ!!

こんな格好で暴れてたわけ?

急に気恥ずかしさを感じて幸の背中にしがみついた腕を外し、両手を自分の身体を隠すように回した。


身体も前屈みにしてなんとか裸を隠そうとするけれど、幸には全力で暴れまくっていたんだ今さらだという虚しい思いが頭に過(よぎ)った。

今の姿を想像すると、恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

そんなオレの態度を理解した幸は、ひとつうなずくとオレから離れた。

今は離れて欲しくない。

だけど……この状況は恥ずかしすぎる。


だから、『側にいて』なんて口にすることができなくて、離れて行く幸の背中を見つめていた。

だけど、幸は完全にオレから姿を消すんじゃなくて、部屋の壁に埋め込んである扉から、人がすっぽりと包めるくらいの布を取り出し、オレの身体を包んでくれた。


……かと思えば、幸はまたベッドの上にいるオレの隣に横たわり、冷たくなったオレの身体を布越しからそっと両腕を背中にまわして、包み込んでくれる。


そうすると、オレの寒気を伴った身体も、恐怖心を抱いた心もすっかりあたたかくなっていくんだ。


幸の隣にいるだけで、なんでかは分からないけど、すごく落ち着く。





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