chapter:蘇る苦痛と恐怖 「……オレの父さんと母さんは、神楽に殺されたんだ」 幸の優しい雰囲気を感じながら、オレは体験した恐ろしい出来事をそっと口にした。 その間、幸は何も話さず、オレの背中にまわした手を頭に置いて、撫でてくれる。 その感覚が、また心地いい。 「神楽っていうのは、オレの幼馴染みで、昔からオレと一緒にツルんでたんだ」 神楽の姿を思い出しただけで心臓が縮小していくような感覚になる。 震えてしまいそうになる自分の身体を抑えようと手を回すけど、役に立ってはくれなかった。 身体が小刻みに震えてしまう。 「古都、話したくないなら話さなくていい」 そんなオレを気の毒に思ったのか、幸はそう言うと、オレの震える身体をいっそう強く抱きしめてくれた。 狐の姿だった時と同じように……。 幸は話したくないなら話さなくていいと言ったけれど……。 さっきの、妖狐から人型になった時の爆発的な力で、神楽にオレの居場所がバレた危険性もある。 執念深い神楽は、オレが山にいないことを知ると、人間の世界に来たと悟るはずだ。 きっと、神楽はココまでやって来るだろう。 そうなれば、神楽の手が、いつ幸や加奈子に襲いかかってきてもおかしくない。 優しい幸や加奈子を、危険な目に遭わせたくはない。 もう二度と、父さんや母さんのように死なせてはいけないんだ。 だから、オレは頭を振った。 |