迷える小狐に愛の手を。
第七話





chapter:漆黒の刃が獲物を狙う時を待つ―side:神楽





父さんと母さんはおそらく、猟師から逃れようとしたのだろう。

後を追った妖狐族が、水を引っかぶって倒れている父さんと母さんを見つけてくれた。

ふたりの手足には、銃弾の痕跡がいくつもあり、逃げられないようにと撃たれた形跡があった。


だが、致命傷は、それではなかったらしい。

決定的な死因は、追っ手から逃げる時に高い崖から落ちたのか、頭部の打ちどころが悪かったことが原因らしかった。


当時、まだ幼かった俺は、両親の死を受け入れることなどできず、ただただ泣きじゃくるばかりだった。

そんな時だ。

古都が……俺の隣にやって来た。

七つ年が離れた古都は、オレにとって、弟のような存在だった。


その古都が、泣きじゃくる俺の隣で、ただ肩を寄せ、俺と同じように大きな目に涙を溜めていた。


その古都を何日も見るうちに、俺の中の孤独な気持ちや悲しい気持ちが薄れ、それと相まって古都に対する、今までとは違った感情が現れはじめた。


天真爛漫(てんしんらんまん)で、分け隔てなく誰にでも笑顔を向け、話しかける古都は、誰からも好かれる。

そして、俺も――……。


古都が俺以外の誰かと話す小さな可愛らしい口を見ると、今すぐ奪ってしまいたくなった。

誰かに笑いかけたりするのを見ると、その大きな輝く麦畑を思わせる黄金色の瞳を俺だけに向けさせたくなるし、うんと鳴かせて、俺が欲しいと言わせたいとも思った。





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