迷える小狐に愛の手を。
第八話





chapter:暴れん坊古都くん





「足の痛みはどう?」

「あ、足は……正直まだ少し痛いけど、歩く分にはそこまでは……」

「そうか……なら、今から買い物に行こうか。俺の服だと古都が着られている感があるからね」


――えっ?

「外、出られるの?」

今のオレに耳があったらきっとピクンッと立てていることだろう。

だって、もう狭い家にいるの、限界なんだ。

もっと広々としたところで思いっきり、はしゃぎ……。

「あ、走るのはナシだからね?」

思っていることは口に出してなかった……はず。
なのに、幸はオレの心の声の続きを否定しやがった!!

ちぇっ、つまんねぇ。


いいじゃん、ちょっとくらい走っても!!

もう身体がなまってしょうがないんだって!!


サケを口に運ぶのをやめて幸を睨(にら)むと、幸は眉根を寄せて苦笑した。

「ダメだよ? 君の体力はまだ完全ではないんだろう? それに、さっき多少、足が痛いって言ったところだったろう?」


……うっ。

自ら墓穴を掘ってしまうなんて、失態だ。


「なんで……分かったんだよ? オレが走りたいって思ってること……」

「ん? ああ、古都は暴れん坊さんだからね」

そう言うと、幸はまた、ニコリと笑った。

「……だけど、外は出よう。古都も人間の世界を見てみたいだろう? その代わり、足が痛みだしたら言うんだよ? 長居をして身体を痛めては元も子もないからね」





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