chapter:暴れん坊古都くん 「足の痛みはどう?」 「あ、足は……正直まだ少し痛いけど、歩く分にはそこまでは……」 「そうか……なら、今から買い物に行こうか。俺の服だと古都が着られている感があるからね」 ――えっ? 「外、出られるの?」 今のオレに耳があったらきっとピクンッと立てていることだろう。 だって、もう狭い家にいるの、限界なんだ。 もっと広々としたところで思いっきり、はしゃぎ……。 「あ、走るのはナシだからね?」 思っていることは口に出してなかった……はず。 なのに、幸はオレの心の声の続きを否定しやがった!! ちぇっ、つまんねぇ。 いいじゃん、ちょっとくらい走っても!! もう身体がなまってしょうがないんだって!! サケを口に運ぶのをやめて幸を睨(にら)むと、幸は眉根を寄せて苦笑した。 「ダメだよ? 君の体力はまだ完全ではないんだろう? それに、さっき多少、足が痛いって言ったところだったろう?」 ……うっ。 自ら墓穴を掘ってしまうなんて、失態だ。 「なんで……分かったんだよ? オレが走りたいって思ってること……」 「ん? ああ、古都は暴れん坊さんだからね」 そう言うと、幸はまた、ニコリと笑った。 「……だけど、外は出よう。古都も人間の世界を見てみたいだろう? その代わり、足が痛みだしたら言うんだよ? 長居をして身体を痛めては元も子もないからね」 |