chapter:運命の出会い。はじめてのお買い物 幸の言葉に、どう切り返そうか迷っていると、幸は続けて話しはじめる。 「ココの屋上に、たしかアイスクリームが売っていたと思うから、そこに行こうか」 あいすくりーむ? なんだソレ? 幸の言葉に興味がわく。 そうすると、さっきまでの感情なんて、すっかり忘れてしまった。 代わりにオレの頭の中は、幸が言った、『あいすくりーむ』でいっぱいだ。 「ゆき、ね、ねねね、幸、幸、『あいすくりーむ』って何?」 「うん、甘くて冷たいモノだよ」 甘くて冷たい? なんだそりゃ。 『あいすくりーむ』のことを幸に訊(き)いたら、余計に分からなくなってしまった。 またもやオレの周囲に、『?』がたくさん舞う中、さっき買ってもらった服を着たままのオレを連れて、幸は動く階段へと向かった。 『動く階段』のこれを、『エスカレーター』って言うんだそうだ。 足を動かしてないのに景色が変わるんだ。 なんか、つくづく人間社会って面白いな。 ――なんて思っていると、ややあって、何度も乗ったり降りたりするエスカレーターはついに途切れ、最上階まで出た。 なんだよエスカレーター、もう終わり? ……面白くない。 天井から地面を照らしていた明かりも、さっき居た服屋さんより少ないような気がするし……。 それも重なって気分はさっきよりも落ち込み気味になってしまう。 しょんぼりしていると、幸は目の前にある大きなガラスの扉を開けた。 |