迷える小狐に愛の手を。
第九話





chapter:運命の出会い。はじめてのお買い物





幸の言葉に、どう切り返そうか迷っていると、幸は続けて話しはじめる。

「ココの屋上に、たしかアイスクリームが売っていたと思うから、そこに行こうか」


あいすくりーむ?

なんだソレ?


幸の言葉に興味がわく。


そうすると、さっきまでの感情なんて、すっかり忘れてしまった。

代わりにオレの頭の中は、幸が言った、『あいすくりーむ』でいっぱいだ。


「ゆき、ね、ねねね、幸、幸、『あいすくりーむ』って何?」

「うん、甘くて冷たいモノだよ」

甘くて冷たい?

なんだそりゃ。

『あいすくりーむ』のことを幸に訊(き)いたら、余計に分からなくなってしまった。

またもやオレの周囲に、『?』がたくさん舞う中、さっき買ってもらった服を着たままのオレを連れて、幸は動く階段へと向かった。


『動く階段』のこれを、『エスカレーター』って言うんだそうだ。

足を動かしてないのに景色が変わるんだ。


なんか、つくづく人間社会って面白いな。


――なんて思っていると、ややあって、何度も乗ったり降りたりするエスカレーターはついに途切れ、最上階まで出た。


なんだよエスカレーター、もう終わり?

……面白くない。


天井から地面を照らしていた明かりも、さっき居た服屋さんより少ないような気がするし……。


それも重なって気分はさっきよりも落ち込み気味になってしまう。


しょんぼりしていると、幸は目の前にある大きなガラスの扉を開けた。






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