迷える小狐に愛の手を。
第九話





chapter:運命の出会い。はじめてのお買い物





コイツも目の前の茶髪と同じ年齢だろう。

お前も年下だろうがっ!


「んだよ離せよ!!」

「威勢がいいっていうのもまた好みだわ」

「ココよりずっといい所に行って、お兄さんたちといいことしよう?」


ぼそりと耳元で囁かれると、ゾクッて、背筋に寒気が走った。


冗談だろ?

コイツらおかしい!!


「いい加減にしろよお前ら、オレは女じゃねぇ!!」

体格は、ふたりともオレより少し大きいくらいだ。

妖力もないけれど、これくらいなら力だけで勝てるか……。


オレの、小さな小さな堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が切れた。

それはもう、盛大に。

プツンってなっ!!


近くにいた男の胸ぐらを掴もうとした……瞬間だった。


突然、オレと男の間に腕がするりと割り込んできたかと思えば、テーブルを叩く、大きな音がした。

見上げれば、輝く太陽に照らされた幸の背中があった。


「俺の連れに何か用かな?」

そう言って、幸は男と向かい合った。

オレからだと背中しか見えないから、幸が今、どんな顔をしてるのかさっぱりわからないけど……なんか…………。

幸を取り巻く空気が、怖い。



「ひぃっ!!」

「す、スンマセン!!」

男ふたりは、大声で謝って、逃げるようにして走り去った。



呆気ねぇ……。


――なんて思ったけど、この場合、幸が怖いだけだな。

きっと。
うん。





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