chapter:運命の出会い。はじめてのお買い物 「ごめんね。遅くなって」 内心、急いで逃げていった男ふたりの背中にうなずいていると、幸はオレに、掌(てのひら)にちょこんと乗るくらいの、紙で出来たカップを差し出した。 そんな幸の表情はいつもと変わらないニコニコ顔だ。 「あ、いや……オレはひとりでもだいじょうぶ……です」 敬語になるのはなんでだろう? ……なんて思っても、答えはすでに出ているのかもしれない。 だって、さっきの、幸の雰囲気は並のものじゃなかったから……。 長年生きている妖狐でも、そんな雰囲気はかもし出せないんじゃないかっていうくらい。 普段ニコニコしてる奴が怒るのって、半端なく怖いもんなんだな。 オレは今日、ちょこっと心理というものを知った。 「冷めてっ!!」 幸について色々考えを巡らせていると、幸に手渡されたカップから、ジンワリ冷たい感触が伝わってくる。 冷たいと思っても手を離さないでいると、今度はジン……と痺(しび)れて、手の感覚がなくなってくる。 オレは慌ててテーブルの上に置いた。 「これが、『あいすくりーむ』?」 「そうだよ、開けてみて? これで食べるんだ」 幸は右手に持っていた棒切れを手渡してくれた。 オレは幸から棒切れを受け取ると、カップのフタを取って中を覗く。 そうしたら……。 クリーム色をした平坦なものがカップいっぱいに詰まっていた。 太陽の光を浴びた、『あいすくりーむ』は、氷のようにキラキラ輝いている。 |