迷える小狐に愛の手を。
第九話





chapter:運命の出会い。はじめてのお買い物





まるで、オレたち妖狐族が住む雪山のような……。

そんな滑らかな表面だった。

それを見ると、懐かしくて、胸があたたかくなる。

人間の世界も面白いけど、やっぱり故郷の山の方が好きなんだと、今さらながらに思い知らされる。


今は神楽がいるから、帰れないけどな……。

なんてシンミリしちゃったオレは、穏やかに向けてくる幸の視線にハッとした。

慌てて幸を見ると、にっこり笑って食べることを無言で促(うなが)してくる。


ひとつ喉を鳴らすと、棒切れで、『あいすくりーむ』を掬って口元へと運んだ。

匂いを嗅いでみたけど、何も匂わない。

今まで見たこともない物体だ。
味はどんなのだろう?

オレは未知なる物体と向き合うため、目を閉ざし、口を開けた。


「むぐ……」

冷てっ!!


口の中に広がったのは、やっぱり初め手に取った時の感覚と同じだった。


だけど……あれ?

これって……?


口の中に徐々に広がってくる甘い味に、オレは閉じた口を動かした。


甘い!!

冷たいし!!


「なんだこれ!?」


面白れぇっ!


目を開けると、うなずく幸の顔があった。

美味(うま)いっ!!


「これ、すっげぇ美味い!!」

美味しさに気が付けば、オレの手と口は、もう止まらない。

『あいすくりーむ』を棒切れに乗せると、次から次へと口の中に放り込んだ。


なんだコレ!

「幸、これ美味いな!!」





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