迷える小狐に愛の手を。
第十話





chapter:発情期ってなんですか?





いつまでもモソモソと布団の中で身体を動かしていたから、幸を起こしてしまった。

結局、どうやっても起こすハメになってしまうんだよな。

「ごめん。起こした?」

幸が怒っていないかを見るため、視線を上げる。

幸は、心配そうにオレの顔色を窺(うかが)っているだけだった。



……よかった、怒ってない。


オレが幸なら、起こすなって怒鳴っていたところだ。

幸って、とことん人間ができてるっていうか、おおらかなんだな。


そんなことを考えていても、身体のムズムズ感は治まらない。

――というか、これ。

さっきよりも酷くなってないか?



「古都? 足が痛む?」


幸がそう言ったのはたぶん、昨日買い物で長時間歩いたから、傷が悪化したんじゃないかと考えたんだろう。

眉根に皺を寄せて心配そうにオレを見つめてきた。

足はそこまで痛くない。

ただ、身体がおかしいだけ……。

「ちがう……。からだ……オレ……」


今、どういう状況なのかを幸に話そうとしたら、みぞおちがひどく疼いた。

「ん…………っふぅ……」

その途端、オレの口から女が甘える時に使うような声が出てしまう。


やだ。

なんて声出してんだよオレ!!


……なんて思っても、鼻にかかった甘い声は疼きを抑えようとすると出てしまうわけで……。


「古都?」

「や……なんでもな……んっ」

オレの名前を呼ぶ幸に、オレは首を振って前かがみでうずくまった。

そういうふうにしたら、この疼きがなんとか治まるんじゃないかって思ったんだ。





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