迷える小狐に愛の手を。
第十話





chapter:発情期ってなんですか?





おかげで、今日幸が服屋さんで買ってくれたばかりの紺色のズボン越しに膨れ上がっているオレが強調される。

「やっ!!」


恥ずかしいっ!!


オレは急いで自分自身を両手で隠そうとする。

それなのに、幸はオレよりも早く、中心に手を伸ばしてきた。


えっ? なに?


幸の行動がどういったことを示すのかわからなくって慌てる。


「嫌だったら言って……すぐ止めるから」

幸の骨張った大きな手が、オレの膝と膝の間にするりと伸びてきた。


どういうこと?

幸は何をしようとしているの?


困惑するオレに、幸は、ニコリといつもの優しい微笑みをオレに向けた。

その瞬間――……。



「ひぁん!!」

オレの腰が、びくんと跳ねた。

だって、幸の手がオレ自身を包んでいるんだ。

「ゆきっ…………?」


いったい何を!?


「嫌なら言って」

もう一度念を押すと、幸は手にしたオレ自身をさっきよりも、もう少しだけ力を込めて、握ってきた。


「あっ、ぁん!!」

反り上がっているオレ自身を幸に握られると、ズクンと鼓動する。


まるでそれは、もうひとつの心臓みたいだ。


「古都、大丈夫? 気持ち悪くない?」


幸が尋ねてくるのは、神楽(かぐら)や、例のドーベルマンとのやり取りを思い出させたくないという幸なりの心遣いだろう。

気持ち悪くない。


なんでか分からないけど、幸だと平気。





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