chapter:幸なんて、もう知らねぇっ! チュンチュン。 小鳥の鳴き声が、飛んだ意識を覚醒させた。 「ん…………」 うっすらと目を開ければ、太陽の明るい日差しと、幸(ゆき)の顔があった。 漆黒の星のような瞬きがある綺麗な瞳は、閉じた瞼(まぶた)の先にある、長いまつ毛に覆われている。 真ん中にあるスッと通った鼻の下には、大きな唇が寝息を立てていた。 ……ドクン。 幸の寝顔を見た瞬間、オレの心臓が大きく跳ねた。 それはきっと、深夜の所為(せい)かもしれない。 オレは発情期を迎えてしまって、幸がオレを助けてくれたから……。 だけど、あのやり方って……。 深夜のことを思い出したオレは、顔がシュカーっと赤くなる。 恥ずかしい。 顔、合わせられないっ!! 幸から目を逸(そ)らし、時間を確認すれば、六時三〇分。 あれからまだ三時間しか経ってないんだ。 ……そういえば、オレの服、どうなっているんだろう。 オレが意識を飛ばす前、たしか……オレ、おもいっきり出したんだよな……。 先走りを流す時とは違う、もっと強烈な尿意に襲われて、オレ、てっきりおしっこかと思ったのに、それは違っていて……。 幸いわく、それは『白濁』っていうもので……。 「……っつ!!」 ……なんて思い返せば、今朝方、幸にされたことを鮮明に思い出してきた。 恥ずかしい。 乱れていたパジャマに目を通せば、きちんと直されていた。 |