迷える小狐に愛の手を。
第十一話





chapter:幸なんて、もう知らねぇっ!







チュンチュン。

小鳥の鳴き声が、飛んだ意識を覚醒させた。


「ん…………」

うっすらと目を開ければ、太陽の明るい日差しと、幸(ゆき)の顔があった。

漆黒の星のような瞬きがある綺麗な瞳は、閉じた瞼(まぶた)の先にある、長いまつ毛に覆われている。

真ん中にあるスッと通った鼻の下には、大きな唇が寝息を立てていた。




……ドクン。

幸の寝顔を見た瞬間、オレの心臓が大きく跳ねた。

それはきっと、深夜の所為(せい)かもしれない。

オレは発情期を迎えてしまって、幸がオレを助けてくれたから……。


だけど、あのやり方って……。

深夜のことを思い出したオレは、顔がシュカーっと赤くなる。


恥ずかしい。

顔、合わせられないっ!!


幸から目を逸(そ)らし、時間を確認すれば、六時三〇分。

あれからまだ三時間しか経ってないんだ。



……そういえば、オレの服、どうなっているんだろう。


オレが意識を飛ばす前、たしか……オレ、おもいっきり出したんだよな……。

先走りを流す時とは違う、もっと強烈な尿意に襲われて、オレ、てっきりおしっこかと思ったのに、それは違っていて……。

幸いわく、それは『白濁』っていうもので……。


「……っつ!!」

……なんて思い返せば、今朝方、幸にされたことを鮮明に思い出してきた。

恥ずかしい。


乱れていたパジャマに目を通せば、きちんと直されていた。





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