chapter:幸なんて、もう知らねぇっ! オレが体験した恥ずかしいことなんて何もなかったと言っているようだ。 たしかにオレが流した液はどこにも見当たらない。 だからきっと、幸が片付けてくれたんだ。 幸は、そうやっていつも面倒を見てくれる。 他人のことなのに、それを苦とも思わないんだ。 ……幸。 優しい幸の心根に、オレの胸がきゅっと締めつけられる。 オレはふたたび視線を上げて、穏やかな寝息を立てている幸を見た。 「ん……」 すると、幸の瞼が震え、漆黒の目の中に、綺麗な星が散りばめられたような、綺麗な光があらわれた。 ……ドクン。 幸と目が合うと、また鳴り出すオレの心臓。 オレ、おかしいんじゃないか? そう思うくらい、オレの心臓は、ドックンドックンと煩(うるさ)いくらい跳ね上ている。 「おっ、おはよう」 オレは自分の心情を幸に知られたくなくて、口を噛みしめながら、挙動不審にならないように気をつけて、幸に挨拶をした。 っていうか、オレ、なんでこんなに緊張してるんだろう。 ……きっとアレかな? 幸にオレのを握ってもらったり、白濁を出すっていう、自分の醜態を幸に見られたからかな。 ――なんて、自分に言い聞かせて、ウンウンと、内心うなずくオレ。 「おはよう」 幸はオレに挨拶を返すと、すぐに起き上がった。 ……あれ? たしかにね。オレが、『おはよう』って言ったら、幸も、『おはよう』って返してくれた。 ……なんだけど……。 あれっ? なんか、いつもの幸じゃないっていうか……。 そっけなくないか? オレ……幸に何かしたか? |