chapter:幸なんて、もう知らねぇっ! 一抹(いちまつ)の不安がオレを襲う。 そうこうしている間にも、幸はオレから背中を向けて、部屋から出て行こうとする。 なんで? やっぱり、今日の幸おかしい。 だっていつもの幸なら、目が合ったらにっこり笑ってくれたり、足の痛みがないかどうか確認してくれるんだ。 それなのに、今はそういうことがなくって、すぐに部屋から出て行こうとする。 まるで、オレを避けるみたいにして……。 もしかして、深夜のことが原因なのかもしれない。 オレが、『発情期』とかいう、意味不明なものになったから、まどろっこしいと思ったのかも。 いくらおおらかな性格をしている幸でも、そこまで面倒は見きれないって、そう思ったのかな……。 どうしよう。 幸とギスギスした仲になるのはイヤだな……。 だったら、幸と話し合うしかないよね。 でも、いったい何を……? だって、『発情期』とかいうヤツの対処法なんて、オレ、知らないし……。 ――いや、分かったけどさ。 対処方法。 要するに、幸にやってもらったようなことを、自分ですればいいんだろう? だけど、あんなことを自分でするのって……。 なんか、すごく恥ずかしい。 というか、他人にさせるのはもっと恥ずかしいことなんだけどさ……。 だからって、自分で自分のを握るのって……。 ――いやいや、みんなそうやってきたんだよな。 |