迷える小狐に愛の手を。
第十一話





chapter:幸なんて、もう知らねぇっ!





一抹(いちまつ)の不安がオレを襲う。

そうこうしている間にも、幸はオレから背中を向けて、部屋から出て行こうとする。


なんで?

やっぱり、今日の幸おかしい。

だっていつもの幸なら、目が合ったらにっこり笑ってくれたり、足の痛みがないかどうか確認してくれるんだ。

それなのに、今はそういうことがなくって、すぐに部屋から出て行こうとする。

まるで、オレを避けるみたいにして……。



もしかして、深夜のことが原因なのかもしれない。

オレが、『発情期』とかいう、意味不明なものになったから、まどろっこしいと思ったのかも。

いくらおおらかな性格をしている幸でも、そこまで面倒は見きれないって、そう思ったのかな……。


どうしよう。

幸とギスギスした仲になるのはイヤだな……。

だったら、幸と話し合うしかないよね。

でも、いったい何を……?

だって、『発情期』とかいうヤツの対処法なんて、オレ、知らないし……。


――いや、分かったけどさ。

対処方法。

要するに、幸にやってもらったようなことを、自分ですればいいんだろう?


だけど、あんなことを自分でするのって……。
なんか、すごく恥ずかしい。

というか、他人にさせるのはもっと恥ずかしいことなんだけどさ……。

だからって、自分で自分のを握るのって……。



――いやいや、みんなそうやってきたんだよな。





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