「お母さん。これ、なに?」 :満面の笑みを浮かべる母さんに花音が:訊(たず)ねたその声音はいつもよりずっと低かった。 黒のスーツとフリフリの純白ワンピース。 このふたつを目にしただけでも嫌な予感しかしない。 「やあね〜、見ればわかるでしょう? 礼服よ!!」 ……礼服? 「なんのための?」 「なにするの?」 『当然でしょう?』と胸張って答えた母さん。 今度は俺と花音の声がダブった。 さすがは双子だ。息もぴったりだな。 ――って、感心している場合じゃない!! 俺はキョトンとしている母さんと父さんを交互に見つめた。 しばらくの沈黙がリビングを漂う。 その中で、今度は父さんが口を開いた。 「そりゃアレだよ、花音。お前の婚姻相手の……」 「っはあああああっ?」 「はあっ?」 父さんの言葉を遮ったのは、むろん言うまでもなく花音と俺。