追って追われて恋模様。
第三話





chapter:それでも大好きなあの人。





……先輩。


最後までされるのを覚悟して、目を閉じた。



「悪いけど、この子は俺のだから。諦めてくれない?」

「い、ててててっ!」


ぼくを襲っている男の人とは違う、また別の人の声が聞こえたのと同時。

大学生の男の人は悲鳴を上げていた。

どうしてか、新たに現れたその人の声は知っている人に聞こえて、びっくりして顔を上げると、そこには――。


「っつ!! 三浦、せんぱっ!?」


ぼくが、今助けてほしいと思っていた、大好きな三浦先輩が立っていた。

大学生で年上だと思うのに、三浦先輩は男の人の腕を後ろに引っ張り、拘束している。



どうして?

先輩は、どうしてココにいるの?



「なんだ、お前はっ!?」

男の人がそう言った時には、もうぼくの近くにはいなくて、地面に尻もちをついて、こちら側を見上げていた。

そしてぼくは、今、先輩の腕の中にいる。


「俺? この子の恋人。だからさっさとどっかに行ってくれない?」


えっ?


男の人の問いに平然と答える先輩。

その言葉を聞いたぼくは、耳を疑った。


――ああ、でも先輩はぼくを助けるために嘘をついたのかも知れない。


相手が誰であれ、こうして本心からでもない言葉を告げる先輩は、とても優しい。

それも、たまたま居合わせただけの現場で、だ。



たまたまでも、大好きな人に会えれば嬉しい。





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