chapter:電話して抱かれて恋模様。 ひとりきりの夜は、大好きな三浦先輩と過ごしていた日中が嘘のように、心細い。まるで、ぼくははじめから、ひとりぼっちなんだと言われているように……。 「……けんと……」 けっして本人の前では言えない名前を、スマートフォンの画面上に映っている電話番号を見ながら言ってみる。 先輩は、もう寝ただろうか。 「会いたいな〜」 先輩とお付き合いしている今は良い。だけど、いつかはぼくとお母さんを捨てたお父さんみたいに、どこか遠くへ行ってしまうんじゃないかって、そう思ってしまう。だって、ぼくは何の取り柄もない奴なんだ。 「会いたいよ、けんと……好きなんです……せんぱい」 切なくて、悲しくて、嗚咽を漏らし、静かに泣いていると……。 「え? 翔夢くん?」 「はぅっ!?」 先輩の声がスマートフォン越しから聞こえてきてビックリした。 心臓が、一瞬止まる。 どうやらぼく、いつの間にか通話ボタンを押してしまっていたらしい。 うっわ、間抜け。間抜けすぎるっ!! 「あ、あのっ! えっと!!」 「待ってて、今からそっちに行くから」 ぅええっ!? 「あ、あの、せんぱっ」 良いです、ぼく、大丈夫です!! そう言おうと口を開けると、すぐにスマートフォンからは、ツーっていう電子音が聞こえてきた。 ど、どうしよう。先輩来ちゃうよっ!? ぼく、もう寝間着だよ? パジャマだよっ!? 可愛くもないし……って、それはいつもと変わらないか。 鏡を覗き込み、わたわたしていると……。 ピンポーン。 静かな家の中で、チャイムが響いた。 きっと、先輩だ。 「あの、せんぱ……んぅっ」 夜遅くに呼び出したりしてごめんなさいって謝ろうとしたら、ぼくの唇が塞がれてしまった。 そうかと思えば、先輩の口から飛び出した舌が、ぼくの口内を自由気ままに動く。 「んっ、っふ……」 クチュ、クチュ。 先輩の舌がぼくの舌に絡んで濡れた音が玄関に響く。 上顎から歯列を通り、下顎へと移る。 ぼくの舌が、先輩の唇によって思いきり吸われた。 「ふぁ……」 もう、ダメ。 ぼくの腰が砕けてしまった。 先輩は、口づけだけでも腰が抜けたぼくの膝下に腕を通し、横抱きにして寝室まで運んでくれた。 ふかふかなベッドの上に寝かされて、ぼくの唇がまた塞がれた。 そして、口の端を伝い、首筋から鎖骨へと移動していく……。 「せんぱ……」 うそっ!? 気がついた時には、いつの間にかぼくはパジャマを着ていなくて、裸体を披露していた。 「やっ、せんぱっ!!」 「俺の名前を呼んだ可愛い君が悪い。会いたいとか、そんなことを言われたら、もう抱くしかないじゃないか」 先輩は早口でそう言うと、ぼくの乳首に吸い付いた。 「やっ、やっ、せんぱ、そんなに吸ったら、おっきくなっちゃ!!」 「なればいい。可愛いここもすべて、俺のものだ……」 甘噛みされ、歯の隙間からチロチロと舐められる。 一方を終わると、もう一方も吸ったり舐めたりを繰り返した。 「……っふ、ああっ!!」 その度に、ぼくの腰は跳ね、ベッドのスプリングが軋みを上げる。 「可愛い、ここも、たっぷり大きくしてあげるね」 先輩の手がぼくの陰茎を包み、扱いてくる。 先輩の手が動くたび、陰茎からは先走りが放たれ、水音が生まれる。 「あっ、あっ、あっ!!」 快楽しかないぼくの頭は、もう喘ぐしかできない。 先輩。先輩、好き。大好きなんです。 「せんぱ、抱いて、お願いっ!!」 「可愛いすぎる」 ぼくは、先輩によって開脚させられると、顔の隣に両足を配置させられた。 お尻の孔が先輩に見られちゃうっ!! そう思ったら、お尻の孔がヒクヒクしちゃうわけで……。 「可愛いね」 指が二本、一気に挿し入ってきた。 「っひ、あああっ!」 指に絡まっているぼくの流した先走りが、孔を通り、内壁を擦る。その度に、いやらしい淫猥な水音が立つ。 「やっ、そこ、こすっちゃ、だめっ!!」 ぼくが感じる一点を狙い、二本の指が抜き差しをはじめてくるからたまらない。 ぼくはいやいやを繰り返し、先輩に訴える。 「可愛い、可愛いね」 だけど、先輩は全然聞いてくれない。それどころか、感じる部分をさらに強く擦ってきた。 「っふ、ああああっ!!」 目の前には、先輩からもたらされる行為で、大きく膨れていくぼく自身。 自分が放った先走りを、被ってしまう。 視界が歪む。 目からこぼれ落ちる涙は、快楽のものだ。 「せんぱっ、ぼく、もうっ、抱いて抱いてっ!」 「どうやって?」 「っふ、んあっ!!」 意地悪だ。先輩はすごく意地悪だっ! 本来なら、ものすごく恥ずかしい言葉。だけど今は……押し寄せてくる疼きに耐えられない。 早く、先輩が欲しい。この状況をなんとかしてほしい。 だからぼくは、口を開く。 「おねがっ、ぼくの孔に、先輩の、おおきいの、突き刺してっ!!」 「それだけでいいの?」 ――ううん、違う。 「もっと深いところで貫いて……せんぱいの、液、ぼくのお腹に、流してっ!!」 ぼくが言い終えると同時に、先輩はもうすでにぼくがしてほしいことを知っていたらしい。 孔の中に、熱くて大きな先輩の陰茎が入ってきた。 思いきり深くまで、一気に突き刺した。 内壁が先輩の形に合わせて広がっていく……。 「っひ、ああああああっ!!」 お腹に、先輩の白濁がたくさん注がれた。 心が満たされ、ぼくも自身から白濁を流し、イってしまった。 「……ごめんね、君があまりにも可愛くて、どうにもセーブができなかった……」 先輩に抱かれ、全部を拭かれ、綺麗にしてもらったぼくは今、大好きな彼と一緒にベッドの中にいます。 「すき、だから。へいき」 喘ぎすぎた声は、掠れてしまっていた。 「可愛いな〜、ほんとに」 先輩はそう言うと、ぼくの額に口づけしてくれた。 その行為がくすぐったくて、心地いい。 先輩、意地悪なところもあるけれど、すごく好き。 ぼくは、先輩の広い胸に頬を擦り寄せ、甘えた。 目を閉じると、抱かれた疲労からか、それとも安心してか、眠気が襲ってくる。 「そういう仕草もね……本当に困ったなあ」 ボソリと呟く先輩の声を、どこか遠くで聞きながら……。 **END** |