chapter:引っ込み思案なぼくの必需品は携帯望遠鏡。 その日も、大嫌いな電車に乗って、ぼくは学校に向かう。 本当は、電車通学なんてしたくない。 だって電車に乗れば、痴漢に襲われちゃうから。 男なのに、痴漢に襲われるなんて前代未聞だし、恥ずかしすぎて誰にも打ち明けることができない。 それにそれに、今は、ぼくの家族はお母さんだけ。 二人暮らしをしている。 お父さんは、ぼくがもうすぐ中学校を入学するっていう時に、お母さんと離婚した。 ただでさえ、ぼくっていう扶養家族を食べさせるために頑張って働いてくれている。 お母さんには余計な心配をかけたくないんだ。 おかげでぼくの、この悩みはぼくだけが抱えている。 それでも大嫌いな電車に乗って高校に通うのは、それはすべて、三浦 健遙(みうら けんと)先輩がいるからだ。 実はぼく、大好きな三浦先輩と中学が一緒で、その時からずっとストーキングしてます。 ここの高校に入学したのも、実は三浦先輩の追っかけで、なんだ。 もちろん、三浦先輩は男の人。 でもね、ぼくだけがしているんじゃないよ? 中学校でも、もちろん女子に人気だったけど、ここでは男子にも人気。 みんなしていることだもん。 というのも、ぼくたちが通っている高校は男子校で、世間一般では偏見の目で見られがちな男の子同士の恋愛も、女子がいないここの学校じゃ当たり前。 それに加えて、三浦先輩はとても格好いい。 |