chapter:ストーキング、できなくなっちゃった。 今さらだけど、先輩の感情を知って、愕然(がくぜん)としてしまう。 「ごめんなさいっ!!」 謝ったその時、ちょうどドアが開いたから、人混みに紛れて先輩から逃げた。 ……知られた。 先輩に気持ち悪いって思われた。 「っふ、えっ」 もう、大好きな先輩の追っかけもできない。 もう……先輩の顔すらも、見られないんだ。 先輩はぼくを軽蔑してるし、気味が悪いと思われてる。 「っふ、あああああんっ!!」 公衆トイレに入り込み、ぼくは……涙が治まるまで泣いた。 その日。 やっぱり学校に遅刻したぼくは、二限目に登校した。 そして、必需品だった携帯望遠鏡を、 捨てた――。 |