chapter:どうしてこうなってしまったのだろう。side:有栖川 霧我 今まで、せっかく上手く鈴とふたりきりになるのを避けていたのに、これでは今までの苦労がすべて水の泡じゃないか!! あの、マイペース僕様野郎が!! 俺は怒りの矛先を紅葉に変えると、明日の朝会った時にとことんまでヤツを追求してやると心に決めた。 翌朝、もろくもその決意は砕かれる。 相手が紅葉だということを忘れていたのがいけなかったんだ。 「どうだった? うまくいったか?」 学校がはじまる30分前の朝、二人だけの生徒会室で開口一番にそう告げたのは言うまでもなく、有能な副会長を務める相楽 紅葉である。 「うまくいく?」 昨日、なぜ先に帰ったのかと、問い詰めようとしていた俺の頭が真っ白になる。 当然、紅葉の言っていることが理解できない。 眉間に皺を寄せて彼にオウム返しをしてみれば、首を左右に振ってヤレヤレと口に出す。 その様はまるで、聞き分けのない子供を持った親のようだ。 「霧我、俺はせっかく機転を利かせて去ってあげたというのに、何もしなかったのか?」 両手を腰に当て、一歩前へと踏み出す。 俺よりも少し背が低いはずなのに、なぜかこの時の紅葉は威圧感たっぷりだ。 おかげでたじろぐ俺。 「機転?」 「そうだ。 君が何やら悶々と考えていたようだったから、副会長として会長の気持ちを察して二人きりにしてやったというのに君は……」 |