ねぇ、ギュッてしてよ。
お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴





chapter:お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴







「鈴と二人きりになどなりたくなかった!!」




聞こえてきたのは学校にある5階の生徒会室。


大好きな人の声。


だけど、一番聞きたくない言葉。




二人きりが嫌だっていうことはだよ?

それって、それってぼく……もう霧我に嫌われて、顔を合わせたくもないほど大嫌いってことだよね。



生徒会室にある開き戸の取っ手に添えた手が凍りつく。



目頭は熱くなって、目がチカチカする。




視界は……涙で歪んでいくし、これじゃ、二人の会話を聞かなかったことにして中に入るなんて無理だ。



大嫌いになられてるって知ったあとじゃ、もう……霧我のそばにも隣にもいられない。



「ふぇ……」



中から二人が動く気配がして、急いでそこから立ち去る。




「っひっく、ひっく……」



悲しい気持ちと一緒に、涙がボタボタ目から落ちてくる。


しゃくりが止まらない。


気がつけば、屋上に続くドアを開けていた。



「むがぁ……」


大好きな人の名前を呼んでもちっとも楽しい気持ちになんかならない。



それどころか、苦しくなるばかりだ。



自分の気持ちにも重さに堪えられなくなって、ズルズルと壁を伝って地面に崩れ落ちてしまう。



嫌われるくらいなら、両想いにならなければよかった。



好きだなんて告白しなきゃよかった。


今なら少しわかる。





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