chapter:お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴 霧我が何かを言いかけた時、ちょうど被さるようにして言葉を遮る先生の声。 「あの………鈴……けさの……」 「お〜い、有栖川〜」 「霧我、先生呼んでるよ? 行ってきなよ」 朝の生徒会室で話していたことだと思う。 霧我はここでぼくとお別れするつもりなのかな。 でも、もう少し待って欲しい。 決意もできていないのに、いきなり別れるのは無理だもん。 ぼくは霧我の背中をグイグイ押した。 先生のところに早く行って欲しいから。 この続きの話をされたくないから……。 ごめんね。 ごめんね霧我。 もう少し待って。 そしたら、ぼくから霧我にさよならするね。 霧我を解放してあげるから……。 だから、もう少しだけ。 側にいられるという浅はかな夢を――見させてね。 ――その日、休憩時間が来るたび、霧我から逃げまくった。 今は放課後。 生徒会室に行かなきゃいけない時間帯。 でも、行きたくない。 あんなに会いたかった霧我に会えない。 会ったら最後、どうすればいいのかわからない。 もし、もしも、朝のことを聞いたって知られたら、霧我はお別れを言っちゃうだろう。 トボトボ重い足を生徒会室へと運ぶぼく。 そんな時だった。 廊下の一角に……霧我がいた。 しかも……あの……滅多に笑わない霧我が……笑っていたんだ。 |