ねぇ、ギュッてしてよ。
お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴





chapter:お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴





相手はダレ?


そう思って、覗き込めば……。



可愛い感じの女子。



霧我よりも頭二つ分低い、小柄な女子。


目がぱっちりしていて、右ほっぺにえくぼがある子。




ひょっとして、霧我はその子が好きになったの?


だから、ぼくを厄介がるの?



霧我、ねぇ、霧我……。




だけど、そんなこと訊けない。


だって訊いちゃったら、もうぼくは霧我と終わっちゃう。


さよならしなきゃいけない。





だけど……だけどだけど……。


ぼくの脳裏に蘇るのは、眉根に皺を作った霧我。


頭を抱えて苦しそうにしている霧我。




あんな悲しそうな表情は見たくない。


できるなら、ぼくが霧我を笑わせてあげたかった。


でも……もう、無理なんだよね。


ぼくじゃ、霧我はもう笑ってくれない。




だったら、バイバイしなきゃいけないよね。




「霧我……」


気がつけば、笑い合っている女子と霧我の前にいた。


「鈴……」



声をかけたけど、何を言ったらいいのかわからない。


だって、ぼくを視界に入れたとたん、霧我の表情が曇るんだ。


さっきまで笑っていたのに……。



チクチク、チクチク。


痛む胸。


だけど、言わなきゃ。


さようならしなきゃ。


ぼくが好きな霧我は、このままじゃ幸せになれない。



「あのね、霧我……」





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