chapter:お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴 閉じた口をひらいて霧我を見据えた。 そうしたら。 グイッ!! 「生徒会室に行こう」 ぼくの腕が引っ張られた。 「あそこなら邪魔が入らないから」 そっか。 ゆっくりお別れしたいもんね。 ぼくは喉からこみ上げてくる嗚咽を必死に噛み殺して、コクンとうなずいた。 「あの……お話、さえぎってごめんなさい」 ニコニコ笑う女子にそう言って、立ち去り際にお辞儀をすれば、女子はそんなぼくにも笑って手を振る。 優しいコなんだ。 雰囲気は全然違うけど、心の優しいところでは霧我と似てるかもしれないって、そう思った。 お似合いのカップルだね。 そう思うと、視界がグニャって歪んでしまう。 パタン。 5階に行くために上った長い長い階段。 その先に、生徒会室がひとつだけある。 霧我はぼくの手を引いて無人の部屋に入る。 紅葉は……まだ来ていないみたいだ。 霧我は人がいないことを確認してからドアを閉めて鍵をかけた。 もう、そこまでしなくても逃げないのに……。 最後までちゃんと話をするのに。 霧我のそういうところに少し苦笑してしまう。 「鈴……」 向き合うぼくと霧我。 名前を呼んだ霧我に、もう前みたいに躊躇(ためら)うような表情はない。 そっか、もう霧我はぼくと別れるって決意したんだね。 |