ねぇ、ギュッてしてよ。
お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴





chapter:お願いだから側にいさせてください。side:雨宮 鈴





閉じた口をひらいて霧我を見据えた。



そうしたら。




グイッ!!


「生徒会室に行こう」



ぼくの腕が引っ張られた。



「あそこなら邪魔が入らないから」



そっか。


ゆっくりお別れしたいもんね。



ぼくは喉からこみ上げてくる嗚咽を必死に噛み殺して、コクンとうなずいた。




「あの……お話、さえぎってごめんなさい」


ニコニコ笑う女子にそう言って、立ち去り際にお辞儀をすれば、女子はそんなぼくにも笑って手を振る。


優しいコなんだ。



雰囲気は全然違うけど、心の優しいところでは霧我と似てるかもしれないって、そう思った。


お似合いのカップルだね。



そう思うと、視界がグニャって歪んでしまう。






パタン。




5階に行くために上った長い長い階段。

その先に、生徒会室がひとつだけある。


霧我はぼくの手を引いて無人の部屋に入る。


紅葉は……まだ来ていないみたいだ。


霧我は人がいないことを確認してからドアを閉めて鍵をかけた。



もう、そこまでしなくても逃げないのに……。


最後までちゃんと話をするのに。



霧我のそういうところに少し苦笑してしまう。


「鈴……」


向き合うぼくと霧我。


名前を呼んだ霧我に、もう前みたいに躊躇(ためら)うような表情はない。


そっか、もう霧我はぼくと別れるって決意したんだね。





- 20 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom