ねぇ、ギュッてしてよ。
ギュってされて。side:雨宮 鈴





chapter:ギュってされて。side:雨宮 鈴







ヒリヒリ、ヒリヒリ。

痛いお尻。

だけど……とても心地いい。


なんだか、とても安心できるんだ。


まるで雛鳥が親鳥に包まれてるような感じかな。




とてもあたたかくって、とても穏やか。

春の昼下がり、日向ぼっこをしている時みたいに……。



でも、でもね……何かに掴まっていないと溺れそうで怖くなる。


朦朧としていく意識の中、力強い腕を探して手を伸ばす。



そうしたら……。



伸ばしたぼくの手が力強い手に包まれた。


この手は知ってる。




ぼくがとても大好きな人の腕。




ゆらゆら、ゆらゆら。

揺れるのはぼく。






――愛してる。――




そっとささやくその人の声が、ぼくを優しく眠りへと誘う。





――――…………。


――――――…………。





チュンチュン。


チュンチュン。


ぼくは、かわいい小鳥の声で手放した意識を取り戻した。


――あれ?



うっすら目を開けていくと、腰まである窓にかかっているレースのカーテン。

その細かい穴の所々から差し込む白い光。


少し目線を下ろせば、上に何も乗っていない綺麗な勉強机。



真上を見ると、黄土色の、木目模様の天井。



そこは見慣れたぼくの部屋。



あれ?


あれれ?



不思議に思ったのは、途中までの記憶だと霧我と一緒にいたと記憶していたから。





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