ねぇ、ギュッてしてよ。
ぼくだって!side:雨宮 鈴





chapter:ぼくだって!side:雨宮 鈴





「鈴!! 何をしようとしているのか自分でわかってるのか!?」


滅多に怒らない霧我が、怒ってる。


ぼく……嫌われちゃう?




もしかしたら、ぼくを大切にしてくれて、気持ちよくなるのを我慢したんじゃなくって……。


ただぼくを拒絶していただけなのかもしれない。



ぼくといても、気持ちよくなんてなれないから……。




――ああ、ばかだ。


ぼくって、ほんとばか。



そんなことも、わからないなんて。





「ごめ……ごめんさないっ……」



悲しくて悲しくて、まぶたが熱くなる。


嗚咽を出してしまう。



「っく……ごめんなさい……ふぇえええっ」



とうとう涙を流して泣いてしまうんだ。



そんなだから、霧我は身体を離して背中を向けた。


ベッドから……出て行ってしまう。



「ふぇえええ……」



霧我の側にいられると思った。


これからもずっとずっと一緒で、霧我とぼくとは同じくらいの気持ちじゃないかもしれないけど、でも、でもぼくと同じ、『好き』を持ってくれていると思った。



でも、でも……違った。


霧我は……ぼくに対して、そこまでの気持ちはなかったんだ。




「きらわないで……むがぁ、ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさいっ!! ふぇええ……」



どんなに泣いても、どんなに好きな人の名前を呼んでも、もうぼくの側には来てくれない。



こんなやましい考えをした恋人なんていらないって思っただろう。



「ふぇえええ……」


霧我……。





...刀B・。刀B・。...

Side:Suzu...END


- 43 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom