chapter:ぼくだって!side:雨宮 鈴 「鈴!! 何をしようとしているのか自分でわかってるのか!?」 滅多に怒らない霧我が、怒ってる。 ぼく……嫌われちゃう? もしかしたら、ぼくを大切にしてくれて、気持ちよくなるのを我慢したんじゃなくって……。 ただぼくを拒絶していただけなのかもしれない。 ぼくといても、気持ちよくなんてなれないから……。 ――ああ、ばかだ。 ぼくって、ほんとばか。 そんなことも、わからないなんて。 「ごめ……ごめんさないっ……」 悲しくて悲しくて、まぶたが熱くなる。 嗚咽を出してしまう。 「っく……ごめんなさい……ふぇえええっ」 とうとう涙を流して泣いてしまうんだ。 そんなだから、霧我は身体を離して背中を向けた。 ベッドから……出て行ってしまう。 「ふぇえええ……」 霧我の側にいられると思った。 これからもずっとずっと一緒で、霧我とぼくとは同じくらいの気持ちじゃないかもしれないけど、でも、でもぼくと同じ、『好き』を持ってくれていると思った。 でも、でも……違った。 霧我は……ぼくに対して、そこまでの気持ちはなかったんだ。 「きらわないで……むがぁ、ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさいっ!! ふぇええ……」 どんなに泣いても、どんなに好きな人の名前を呼んでも、もうぼくの側には来てくれない。 こんなやましい考えをした恋人なんていらないって思っただろう。 「ふぇえええ……」 霧我……。 ...刀B・。刀B・。... Side:Suzu...END |