ねぇ、ギュッてしてよ。
限界。side:有栖川 霧我





chapter:限界。side:有栖川 霧我





「ぼく、もう霧我とせっくすしなくていいから……。

霧我がぼくで気持ちよくなれないなら……他の人としてもいいから……ぼくを……側に、どうか側に、置いてください……ふぇぇえええっ」



鈴。


それは、俺が他の連中とそういうことをしてもいいと、そう言いたいのか?


俺は、こういう感情を抱くのは鈴だけなのに、鈴は他の連中と身体を重ねてもいいというのか?



「鈴!!」



すがる鈴の腕を引き剥がし、顔を覗けば……。




「ふぇぇええええええん」




大きな目にはまた、涙が溢(あふ)れ、鼻水を垂れ流して泣いていた。


その顔さえも、可愛いと、愛おしいと思う。


その泣き顔は、俺を想ってくれていることを語っていた。



「鈴、よく聞いて。俺はキミ以外誰も欲しない」



「むがぁ……」



だが、その言葉が嘘だと思ったらしく、首を左右に振る。

その度に、頬を流れる大量の涙は散る。




……言葉では無理か。


そう思った俺は、鈴を静かにベッドの上に横たわらせた。



「ふぇえええっ」


鈴、俺を想ってくれているなら、キミと……。


それでも泣いている鈴の身体を開かせると、太腿を広げた。


「ふぇぇええええん」



まだ泣いている鈴は、俺の行動に気づかない。



いつまでもそうして泣いていると、何が起こるのかわからずじまいだぞ。


どうなっても知らないからな。





- 46 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom