chapter:限界。side:有栖川 霧我 「ぼく、もう霧我とせっくすしなくていいから……。 霧我がぼくで気持ちよくなれないなら……他の人としてもいいから……ぼくを……側に、どうか側に、置いてください……ふぇぇえええっ」 鈴。 それは、俺が他の連中とそういうことをしてもいいと、そう言いたいのか? 俺は、こういう感情を抱くのは鈴だけなのに、鈴は他の連中と身体を重ねてもいいというのか? 「鈴!!」 すがる鈴の腕を引き剥がし、顔を覗けば……。 「ふぇぇええええええん」 大きな目にはまた、涙が溢(あふ)れ、鼻水を垂れ流して泣いていた。 その顔さえも、可愛いと、愛おしいと思う。 その泣き顔は、俺を想ってくれていることを語っていた。 「鈴、よく聞いて。俺はキミ以外誰も欲しない」 「むがぁ……」 だが、その言葉が嘘だと思ったらしく、首を左右に振る。 その度に、頬を流れる大量の涙は散る。 ……言葉では無理か。 そう思った俺は、鈴を静かにベッドの上に横たわらせた。 「ふぇえええっ」 鈴、俺を想ってくれているなら、キミと……。 それでも泣いている鈴の身体を開かせると、太腿を広げた。 「ふぇぇええええん」 まだ泣いている鈴は、俺の行動に気づかない。 いつまでもそうして泣いていると、何が起こるのかわからずじまいだぞ。 どうなっても知らないからな。 |