chapter:いきなり嫌われちゃうの?side:雨宮 鈴 ――え? 紅葉は突然、何を言い出すんだろう。 ますます意味がわからない。 「叩かれるのは、悲しいからイヤ」 そんなことをされれば、ぼく今よりもずっとずっと、ず〜〜〜っと悲しくなる。 叩かれることが悲しいんじゃなくって、優しい霧我にそこまで我慢させてしまったっていうことが悲しくなる。 「そういうことではなくてね……」 じゃあ、いったいどういうことなんだろう? ぼくの周りにハテナマークが飛び交う中、ガラガラとドアが開く音がした。 霧我だ。 この流れるような足音は霧我しかいない。 新たにやってきた足音の方向に下げた視線を上げると、やっぱり霧我がいた。 あ、目が合った。 だけど、霧我はやっぱりぼくから逸らす。 霧我の視線はすぐに紅葉に移動しちゃった。 ぼく……本当に嫌われたのかな……。 ズキン、ズキン。 胸と頭が痛い。 「あ、ごめん。俺、少し用事があったの忘れていた。後はふたりに任せるよ」 突然そう言うなり、紅葉は席を立った。 「え? ええ? どうして?」 ぼくは霧我に避けられてるって、さっき話したばっかりでしょう? どうしてそうなるの? 「紅葉っ!?」 「あ、そうそう。今日中に仕上げなきゃいけない書類があるから逃げちゃダメだよ?」 逃げちゃダメって……それじゃ紅葉、やってることと言ってることメチャクチャだよ!! |