ねぇ、ギュッてしてよ。
やくそく。Side:雨宮 鈴





chapter:やくそく。Side:雨宮 鈴





「今週の日曜日、霧我と一緒に映画を見に行くことになったんだ」


「ほう?」


ぽつり、ぽつりと言葉をはじき出すその言葉に、紅葉は片眉を上げて話の続きをうながしてくる。


なんだろう、ぼく……怒られてるみたいだ。



でもでも、ぼくは悪くないよ。

霧我が悪いんだもん!!



そう思うとイラってきて、口から出てくる言葉が自然と早口になった。


「すっごく楽しみにしてたんだ。だって、霧我と学校以外で会うのはじめてだし!!

なのに……なのにさ……」



そこまで言って、ぼくの口が言葉を吐き出すのを止めてしまう。


「断られたのか?」


コクン。

紅葉の言葉にうなずいた。





すっごくすっごく楽しみにしてたんだよ?

なのに、日曜日まであと少しっていう木曜日の今日になって、用事が出来たから無理って言われたんだ。



「どうして断ったのか、理由は霧我から訊いたのか?」



ぼくは無言で首を振った。



訊(き)けるわけないじゃん。

だってだって、すっごくすっごく楽しみにしてなんだもん。

急に無理になったって言われてはい、そうですか。

それでどうしてそうなったの?

とか、訊けるわけないもん。




ぼくの対応に、紅葉は、「はあ」ってため息をついた。


なんだよ、紅葉はぼくが悪いって言うの?

そうだよね、紅葉もどっちかっていうと霧我みたいなタイプだもんね。





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