chapter:やくそく。Side:雨宮 鈴 ――……。 ――――…………。 あくる日の朝も、やっぱり霧我とぼくは一言も口を聞かなかった。 ――ううん、違う。 正確には、霧我は何度かぼくに話しかけようとしてくれていたけど、ぼくが話を聞かずに逃げたんだ。 ……お別れの挨拶をされるんだと思ったから――……。 夕べ、学校から帰ってきてからさんざん泣いたから、瞼が腫れていて重い。 だから女子に誰かに苛められたのかと心配されたり、男子にはバカにされたりする。 そんなこんなで今日のお昼休み。 霧我は相変わらず先生の使いっぱしりで教室にはいない。 ぼくは、心配したりバカにされたりするクラスメート達に囲まれて過ごしていた。 「あの、有栖川 霧我くんいますか?」 ドアから女子の声が聞こえて顔を上げれば、そこには前、霧我と一緒にいた女子が立っていた。 霧我よりも頭二つ分低い、小柄で、目がぱっちりしていて、右ほっぺにえくぼがある子。 霧我の親戚さん――……。 「どうしたの? 霧我は今先生に捕まってるよ?」 ぼくはガタリと席から立ち上がって、入口にいる女子に話しかけた。 「あ、そうなの? そっか。えっと、キミは鈴くんだっけ? 霧我とお友達の」 「うん」 「だったら霧我に言伝してもらってもいい?」 言伝。 なんだろう? 「うん?」 |