chapter:やくそく。Side:雨宮 鈴 そうしたら、視線がぶつかった。 「鈴、あさっての日曜日。もう一度デートを申し込むのは可能か?」 霧我……。 おばあさんのことを考える優しい霧我。 ぼくのことも気にかけてくれるあたたかい霧我。 その霧我を……ぼくは――疑った。 ひどい言葉も言った。 それでも、霧我は許してくれる。 だけど、でも……。 「ううん、もう。いいんだ」 ……キリリ。 言った途端に胸が痛みを訴える。 だけどダメ。 ぼくは、ぼくを許しちゃいけない。 霧我は許しても、ひどいことを言って、霧我に余計な気まで遣わせたぼくを――ぼくは許しちゃいけない。 そんなのダメ。 「霧我、いいんだ。もう、いい……」 ……スルッ。 霧我の力強い腕から抜けるぼく……。 霧我と向き合って……笑ってみせる。 うまく笑えてるかな。 ――ううん、笑えてないね。 だって、ぼくの視界。 うっすらと滲(にじ)んでる。 泣きべそをかいている証拠だ。 「霧我、バイバイ!!」 そう言って、思い切り走り出すぼく。 「すず?」 手を伸ばされて、またぼくの腕を掴もうとされるけど、今度はそうはいかなかった。 霧我と別れよう。 そう、思ったから――……。 「鈴、日曜日。昼1時に南駅で待ってる!!」 遠巻きで聞こえる霧我の声。 |