chapter:身体、重ねて。Side:雨宮 鈴 ……そんなに……嫌われちゃったのかな……。 「霧我、あのっ!!」 ズキズキ痛む胸を、傘を持っていない方の手でギュッと押さえて振り向いた。 そうしたら――……。 アレ? 霧我? どうして、どうしてそんなに耳が真っ赤なの? 「あの、霧我……」 「鈴、お前、無自覚なのも大概にしてくれ……」 「?」 意味がわからない。 首を傾げて、片手で顔を隠す霧我を見つめていると……。 グイッ。 傘を持っている方の腕を、霧我に取られた。 「えっ? あの、霧我?」 スタスタと大股で歩き出す霧我に、ぼくは小走りで慌てて付いて歩く……。 映画館の建物を出てすぐ、霧我は手にしていた傘を広げて、ぼくが土砂降りの雨に当たらないようにしてくれる。 だけど、霧我はやっぱり無言。 ぼくの手を引いたまま、右手の小道を進んだ。 そうして見えてきたのは、チカチカとイルミネーションが光っている小さな建物で……。 看板に何が書いているんだろう? 雨で視界が霞んでうまく見えない。 グイッ。 強く手を引っ張られて、その建物の中に入っていった。 え? ココに入るの? 雨宿り? ――なんて思っていると……。 霧我は傘を窄め、カウンターに立って、何やらボードの前にある部屋を選んでいる。 部屋はお店の外見と一緒で小さい。 |