れんやのたんぺんしゅ〜★
溺愛 ※r18





chapter:溺愛 side:陽生







 先月、俺の父親が再婚し、俺に弟ができた。

 弟の名前は晃太(こうた)。二重の大きな目は真っ直ぐで綺麗だ。黒髪は艶やかで、背は年頃の男の子よりも少し低い。その姿と相俟って、とても愛らしい。俺よりも五歳年下の中学生だ。


 俺は義理の弟に恋をしている。


「兄さん」

 俺の機嫌を窺うように上目遣いになる大きな目も。

 にっこり笑えば、赤く染まる頬も。

 すべてが愛らしい。


 その晃太は寝付きが悪いらしく、俺の部屋にやって来る。

 今だって、大きな目を潤ませて枕を抱きしめて俺の前に立っている。

 もう、本当に可愛いなあ。

 縮こまっている晃太の背中をそっと引き寄せ、中に入れてやると、嬉しそうに笑う。


「兄さん、好き」

 頬を赤らめてそう言う晃太は、おそらく本人は、『好き』を『恋愛』と結びつけていないのだろう。

 俺が晃太を抱いた少し前までは……。

 以前なら、躊躇(ためら)いがちだった晃太は、今では俺に擦り寄ってくる。

 リップ音が鳴ったと同時に、晃太の唇が俺の唇に触れた。

 晃太が俺にキスを仕掛けてきたんだ。


 それは二日前。

 俺が初めて晃太を抱いた時、最終的には快楽を与えたものの、あまりの痛みに耐えきれず、痛いと泣きじゃくった晃太があまりにも苦しそうで。

 できるだけ辛い思いをさせたくはないから、抱きたいという少し我慢していたのに、こうして晃太は俺を挑発してくる。


「晃太」

 腕の中にいる彼の名を呼んでも返事はない。

 様子を窺ってみると、可愛らしい寝息が聞こえた。

 目を閉ざし、小さな唇が弧を描いている。

 どうやら晃太はもう眠ってしまったらしい。


 困ったな……。

 どうしようか。


 そうして今日も、俺は幸せな苦痛に耐える。



 **END**


- 14 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom