chapter:unsociably side:桜庭 貴文 俺には好きな人がいる。 その人は英語の先生で、いつも和やかに笑っている。誰にも優しくて、背もすらっとしていて、モデル並みに格好いい。 でも、その人は俺と同じ男。教師と生徒だし、相手にされる筈もない。告白なんて、できるはずもない。 それでも俺を見てほしくて、だけど、他の先生みたいに俺を異物のように見てほしくない。他の生徒と同じようにじゃなくて、俺だけを見てほしい。 だから俺は、その人の前でいつもぶっきらぼうな態度をしていた。 それが悪かったと知ったのは、初めて先生に抱かれた時だ。 俺が怠慢な態度を取っていたから、親父に首の宣告まで受けていたなんて、そうなるなんて、子供の俺はそんなことを考えてもいなかった。 無理矢理抱かれて、俺、先生にそこまで嫌われたんだと思った。だけど先生は俺を好きだと言ってくれた。 先生、俺、こんなガキだけどさ、でも、この恋は本気なんだ。 だから、だから先生……。 「好き」 誰もいなくなった放課後の教室は、俺と先生の秘密の場所だ。 二人きりの教室でいつものように先生に告白すれば、顎を持ち上げられた。 「貴方は可愛すぎる」 「……ん」 甘い吐息と一緒に、俺の唇が塞がれた。 舌を差し出せば、先生の舌に絡み取られた。 俺の中心がジクジク疼く。 閉じることができない俺の口から伝うのは、いったいどっちの唾液だろう。 先生を受け入れるための後ろの孔がヒクヒクと動く。 先生が欲しい。俺を貫いて、たくさんイってほしい。 俺で気持ち良くなってほしい。 「んぅ……んっ、っふ」 早く先生に抱かれたくて、ネクタイを外す。 「待って、貴文くん」 「なんで?」 なんでダメなの? 俺じゃ、もう気持ち良くならない? 男だし、子供だし、もう飽きた? 恐る恐る先生の顔を見上げれば――。 「私の家に来ませんか?」 それって、それってっ!! 「此処では気が散って仕方がないんです」 困ったように笑うその人。 「っつ! 行きたいっ」 俺は先生に抱きついた。その後、先生が言ったのは、『二人きりの時は応輔(おうすけ)って呼んでください。なんだか悪いことをしているみたいで気が引けます』だってさ。 **END** リクエストいただいたので続き書いてみました(*^O^*)ノシ |