chapter: ◆ 「うっ、っひ、っく」 ボクはまだ泣き止まない。 どうしよう。泣き止まなきゃ邪魔って思われる。 「いい加減、泣き止んでくれね? 俺、迷惑なんだけどさ」 「ごめ、なさ……」 ほら、怒られた。迷惑だよね。 そう思うと、余計に涙がこぼれ落ちる。 「そうじゃなくてな……手、出しちまいそうになるんだよ」 「えっ?」 「だから、早く離れてくんない?」 『手を出す』 そう言われても、どうしてだろう。ボク、怖くない。 この人は、ボクを叩かないって思ったからかな。 『一目惚れ』そう、言われたからかな。 ボクが、ギュってしがみついたままいると、顎を持ち上げられた。 「ん、うっ」 嘘! キスしてる。 だけど、全然イヤじゃない。 ボクは両腕を腰に回したまま、離れないでいると、……。 「ん、っふ」 今度は、ボクの口内に、彼の舌が侵入してきた。 ボクと舌が絡まった……。 背中がゾクゾクする。 ボクも夢中になって彼と舌を絡ませる。 「おい、流されてるんじゃねぇっ!!」 「ひゃんっ!!」 さっきまで、ずっと初めてのキスをしてくれていたのに、思いきり突き飛ばされてしまった。 どうして? 気持ち悪かった? ボクとは、一緒にいたくない? だけど、ボクは……一緒にいたいよ。 「あ、やっ、いやっ!! 側にいてっ!」 どうしよう。ボク、貴方のこと、好きになっちゃったかもしれない。 「っつ、だああああああっ!! 俺にどうしろって言うんだよコレ!! 襲っちまうぞ?」 襲う。きっとそれは、暴力じゃない。 かまわない。貴方なら、ボクは……。 だから、ボクは、つま先立ちになって、彼の薄い唇にキスを落とした。 そうしたら、突然、ボクの視界がグルンって回った。 地面は固くて冷たいコンクリート。 ボクは、彼に押し倒された。 でも、柔らかい布が敷かれていて、ひんやりしていない。 仰向けにされて、夕日が見える。 綺麗な夕日と重なる、彼の顔。 傷の跡が、なぜか、とても優しく見えるんだ。 「もう、どうなっても知らねぇからなっ! 嫌なら全力で俺から逃げろ!」 逃げない。 だって、ボクは、もう、貴方の本性を知ってしまった。 優しい、本性を……。 だから、逃げないよ。 何をされるのかは、なんとなくわかる。 でも不思議と怖くない。 それはきっと、ボクを守ろうとしてくれた彼だから。 ボクは両手を首に回し、逃げないことを行動で示した。 「ったくもうっ!!」 彼は小さく舌打ちをすると、ボクのズボンに手をかけ、下着ごと脱がせた。 「ん、あっ!!」 引き千切られたボタンは、カッターシャツから胸が覗き、ズボンや下着さえも脱がされ、ほとんど何も着ていない状態。 恥ずかしくて声を上げると、 「体から力抜いて。できるだけ、優しくする」 息を潜め、彼はそう言った。 「……ん」 コクンと頷き、両足を開く。 ポケットから何かクリームみたいなのを取り出し、後ろの孔に、塗り込んでいく。 「っふ、んっ」 痛いのに、それだけじゃなくて、なぜか体が熱くなる。 「もういいか……」 彼のたくましい陰茎が、孔に触れるのが見えた。 「あっ!」 大きくて、入りきらない。 ギュッて目をつむったら、ボクの陰茎が触られた。 「ちっせ、可愛い」 コシコシと擦られれば、先走りが流れはじめた。 ジュクジュクと、水音が聞こえる。 ……恥ずかしい。 「そのまま、力、抜いて」 『力を抜いて』 そう言われても、簡単にできないよ! でも、そうしなきゃ、ものすごく痛いことも目に見えている。 だって、ボクの後ろで彼を受け入れるから……。 言われるままに、頑張って力を抜けば――。 ズブブッ! 「っふ、あっ、やっ、あああああっ!!」 勢いよく、彼が中に押し入ってきた。 「っあ、あああっ!!」 大きい陰茎がボクの孔が広げ、突き進む。 痛い。 だけど、彼はきちんとボクの陰茎に触れてくれて、痛みだけじゃない快楽を与えてくれる。 だからボクは、『痛い』と言わず、背中に腕を回す。 「ごめん、ごめんなっ!」 ボクの最奥を目指して押し入りながら、何度も謝る彼。 その姿が、どこか可愛く思える。 ボクは首を振り、両足を彼の腰に絡めた。 「いくら人気がないっていっても、こんな場所で初めてを奪っちまうなんて。ムードもへったくれもねぇな、ごめん」 深い抽挿を何度も繰り返され、抱かれた後、彼はボクの身なりをきちんと正してくれて、今。目の前で土下座しています。 なんか、ボクよりもずっと背が高いはずなのに、ものすごく小さく見えるんだ。 あやまらなくていい。 だってボク、貴方が好きです。 きっとこういうことだよね。 ボクは、土下座する彼に抱きつき、ただ微笑んだ。 **END** |