*恋色童話集*




chapter:赤ずきん~弱虫オオカミ





「な、いいか?」

赤ずきんくんの家で傷の手当てが終わったら、赤ずきんくんは必ずそう言う。



「うん、いつものアレだよね?」

本当はすごくドキドキするんだけど、でも赤ずきんくんが喜んでくれるなら、ボクも嬉しい。


だからボクは、コクンとうなずいて、赤ずきんくんに身をゆだねる。


「はぁ〜、やっぱいいわ〜」

……スリスリ、スリスリ。

ボクの身体を抱きしめて、顔を頭にくっつけて、スリスリされる。


……とても気持ちいい。


赤ずきんくんからシャボン玉の匂いがする……。

ボクはうっとりと目をつむって、赤ずきんくんが気のすむまでこうやってスリスリされるんだ。


本当はね、ボク知ってるんだ。

赤ずきんくんは、ボクの、この『ふわもこ』な毛が好きなこと。


だから赤ずきんくんは、みんなからイジメられているボクを助けてくれるんだってこと……。


赤ずきんくんはこうやってスリスリしてくれるけど、けっしてボクを好きなんじゃなくって、彼はただ、ボクの『ふわもこ』が好きなだけなんだ……。


そう思うと、ものすごく胸がズキズキする。

手当てされる前の傷よりもずっと、胸が痛い。


だけど、そもそもボクが抱く、『好き』っていう気持ちは、同性の赤ずきんくんに抱いちゃいけないものだから、だから仕方ない。


ボクが、勝手に赤ずきんくんを好きになっただけなんだもん。





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