chapter:とある、うさぎくんの恋愛事情。 僕はうさぎ族の、兎(と)って言います。 僕はオオカミ族の、狼(ろう)くんをいつもキツネ族の狐(こ)くんと一緒にいじめてます。 叩いたり、蹴ったり……。 「や〜い、泣き虫オオカミ!」 「泣き虫!!」 こんなふうに。 狼くんはけっして、やり返してはきません。 僕と狐くんの間でただうずくまり、頭を抱えて泣くばかりです。 最強と言われているオオカミ族では考えられないくらい、とても弱いです。 「うわ〜ん、やめてよっ、いたいよっ!!」 だけど狼くんには、とっても強い味方がいます。 それは……。 「ごるぁああああっ! お前ら、俺の狼をいじめるなっ!!」 「げっ、凶暴赤ずきんだ、逃げるぞ、兎!!」 「う、うん」 狐くんに手を引っ張られ、僕たちは赤ずきんくんから逃げる。 これが、僕と狐くんの日常。 ……本当はね、いじめなんて良くないってわかってるんだ。 それでも狼くんをいじめるのは、実は……すべてはこのためだったりする。 胸が大きく鼓動するのは、とっても強い赤ずきんくんから逃げているからじゃない。 ――実は僕、狐くんが好きなんだ。 襟足よりも少し短めの黒髪に、凛々しい一重の目。 それからそれから、長い足。すらっとしたモデルさんみたいな体型に、ピンって尖った耳。 対する僕は、垂れ耳で、チビで、甘栗色の長めの髪。 |