お願い、ギュッてして!
☆第一話☆





chapter:恋って落ちるものだよね





え?

なんで固まるの?


なんて、思っていたら……。



「うそっ!! 鈴くんじゃん!!」


ショートカットの女子が口をひらいた。


え?


ぼくの名前……なんで知ってるの?

彼女と話したことあったっけ?


首をかしげると……。


「相変わらず、かっわいい!!」


ガバッ。


「のえええええええええ?」


衣擦れの音がしたと思った瞬間、ぼくは女子の腕の中にいたりします。


「ちょっと彩(あや)、何やってんの!! 鈴くん困ってるじゃない!!」


ぼくが慌てふためいていると、もうひとりの髪の長い女子は、抱きしめられた腕をほどいてくれた。


「ちょっと、何すんのよ!?」


ショートカットの女子は口を前に突き出して怒っている。


「何するのじゃないわよ。鈴くん困ってるでしょ?」

「あ、あの……」


ぼくは2人の世界になってしまった間に立つと、小さく手をあげた。


「いいじゃん!! かわいいもん!!」

「あの〜」

ぼくを無視しないで。

「よくない!! いい? 鈴くんはねぇ……」

「あの〜」

お願いです、話を……聞いてください。


「あのっ!!」


ぼくは大きな声を上げる。


「あ、ごめん!!」

ぼくの大きな声に、ようやく2人は振り返ってぼくを視界に映してくれた。


よかった……。

やっとぼくの話を聞いてくれる。





- 3 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom