お願い、ギュッてして!
☆第一話☆





chapter:恋って落ちるものだよね







「行ってきまーす!!」


時刻は7時30分。


御前(みさき)高校へと走る、2年のぼく、雨宮 鈴(あまみや すず)は、いつもの時間、いつもの通学路を走っていた。


走る理由?


そんなの学校に遅れるからに決まっている。


なんでいつもいつも母さんは早く起こしてくれないんだろう。

おかげでいつも遅刻寸前なんだ。



あ、もちろん遅刻っていうのは、『学校に遅れる』っていう意味じゃない。


『仕事に遅れる』っていう意味。


ぼくの仕事……それはね。


実はぼく、生徒会書記を務めてます。


すごいでしょう?


みんなの役に立ちたいっていうので入った生徒会……なんだけどね。


それだけじゃなかったりもする……。



それは何かって?


えっとね、それはね……。


「うそ!? どうしよう!! 早くしないと朝練に間に合わないよ?」


「もう!! 美夏(みか)が打ち合いしながら学校行こうとか言い出すからじゃん!!」


「んなこと言ったって、アンタもそれに同意したでしょう?」




――いったいどうしたんだろう?



いくらか走っていると、目の前で、ふたりの女子が言い合っている場面に遭遇した。


「どうしたの?」


たぶん、同じ学年じゃないかな。

ぼくと同じ紺色のブレザーに身を包んだ女子に話しかけた。



声をかけられたふたりの女子は振り返り、ぼくを見て固まった。





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