chapter:恋って落ちるものだよね 心配そうに見つめてくる霧我に背中を向け、手にしていた羽をショートカットの女子に渡すと逃げるようにして学校に向かった。 そんなぼくの背中には、無言で歩く霧我の気配がある。 自然と意識は必然的に後ろにいる霧我へといってしまう。 ……身体があつくなったり、ホワホワしたり……。 こうやって霧我を意識する理由は知っている。 ぼくは霧我が……有栖川 霧我が好きなんだ。 『好き』っていうのは、友達としてのものじゃない。 ぼくの『好き』っていう種類は、異性の『好き』っていう種類のものなんだ。 同じ男同士なのにこの感情はおかしいって思う。 だけど、たしかにぼくのこの想いは存在している。 こんなこと、本人にはけっして言えるものじゃないってことは知ってるし、言うこともできないけど――。 だって、言ったらきっと、『気持ち悪い』って思われちゃう。 そうなったら、ぼくはきっと一生、立ち直ることができないだろう。 それだけ、彼への想いが強いんだ。 |