お願い、ギュッてして!
☆第一話☆





chapter:恋って落ちるものだよね





心配そうに見つめてくる霧我に背中を向け、手にしていた羽をショートカットの女子に渡すと逃げるようにして学校に向かった。



そんなぼくの背中には、無言で歩く霧我の気配がある。



自然と意識は必然的に後ろにいる霧我へといってしまう。


……身体があつくなったり、ホワホワしたり……。

こうやって霧我を意識する理由は知っている。


ぼくは霧我が……有栖川 霧我が好きなんだ。


『好き』っていうのは、友達としてのものじゃない。


ぼくの『好き』っていう種類は、異性の『好き』っていう種類のものなんだ。


同じ男同士なのにこの感情はおかしいって思う。

だけど、たしかにぼくのこの想いは存在している。


こんなこと、本人にはけっして言えるものじゃないってことは知ってるし、言うこともできないけど――。


だって、言ったらきっと、『気持ち悪い』って思われちゃう。


そうなったら、ぼくはきっと一生、立ち直ることができないだろう。


それだけ、彼への想いが強いんだ。





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