お願い、ギュッてして!
★第二話★





chapter:★猿だって木から落ちるんだよ★







歩くぼくの後ろから、霧我(むが)の気配を感じながらも、振り返りもせず、そのまま校舎の中に入った。


各階には13段の階段が配置され、5階に辿り着く。

そこには、特にこれといって教室は何もないため、がらんとした廊下が続くだけだ。


そこにぼくたち、生徒会の教室があった。


生徒会の教室は一般の教室と同じくらい広い。


南向きということもあってか風通し、日当たり抜群。ちょっとしたオアシスみたいになっている。


そんな生徒会室のドアの前に、茶色い髪を肩まで流している女性のような繊細な男子が立っていた。


身長は霧我と同じくらい高い。

たぶん、180センチそこそこじゃないかな。


彼の名は、相楽 紅葉(さがら もみじ)。


ぼくたちと同い年なんだ。

――そう。

容姿端麗な彼こそ、霧我の右腕とされる生徒会副会長を務めるその人だったりする。


今の生徒会はみんな2年生でまとまっている。

それは、校長先生の好みというか……なんというか……そんな感じ。


実は、この生徒会は、校長先生によって選出されるんだ。



「遅いよ、霧我。鈴(すず)。各部からの届け出と、委員会からの提案書類がたくさんきてるんだから」


大きな瞳が霧我とぼくを捉えると、開口一番にそう言った。


にっこり微笑む彼の姿は天使さながらで、この世の人とは思えないほど、とても優雅だ。





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