お願い、ギュッてして!
★第四話★





chapter:★大好きが大きくなっていく★







その人物に気がついたのは、それから数日経ったある日のことだった。

それは他愛もない日常の放課後。

いつものように、先生に言いつけられた荷物運びをする霧我(むが)を、今日こそは手伝おうと、決意していた。


「これ、運べばいいの? 持っていくね」

「鈴(すず)? いや、これは重いからいい」


今日こそは!! ……って意気込んでも、また霧我に止められちゃうんだけど……。


でも、でもでも。

今日は絶対、霧我のお手伝いをするんだもん!!


「大丈夫だよ、これくらい。1階の保健室に持っていけばいいんだね? よいしょ……」


――あ、重い。

地面から離して、実際に両手で持ってみると、ものすごく重たかった。

手が伸びちゃいそうだ。


でも、でもでも。ぼくだって男だもん。これくらい、どうってことないよ!!

ヤケになったぼくは、ダンボール箱を胸まで上げて、体勢を整えた。

階段の一段目に足を下ろす。


その時だった。

ひとりの……女子の姿が目に入ったんだ。

身長はぼくと同じか、少し小さめの、ほっそりした子。

肩まである髪には横で三つ編みをしている。

ちょっぴり控えめな感じの女子。


女子なら他にもいるのに、どうしてだろう。その子だけは目を外すことができなかった。


だから、その子を横目に入れながら、重たい箱を手にして階段を下りはじめる。


そしたら……。





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